霊媒師マリーの館殺人事件

霊媒師マリーの館

 死者の魂を呼び寄せると伝えられる霊媒師マリーがいた。その姿を直接見た者はほとんどおらず、客は受付係のクララを通してやりとりを行っていた。マリーは、死者しか知り得ない事実を的確に言い当て、その評判は瞬く間に遠方まで届いた。

 降霊術では必ず真実しか語られない。その真実を知るために、マリーの館には常連が足繁く通い、新規の客が予約を取るのは、もはや至難の業となっていた。

 

 

プロローグ

 長く続いた雨がやっと止んだある日、霊媒師マリーの館の待合室で、女性客レナが背後からナイフで刺されているのが発見された。

 

 正確には顔が焼かれてすぐには判別がつかなかったが、服装からレナだということが分かった。レナは、最近になって館に来るようになった比較的新しい客だ。第一発見者は、同じく常連客であるブルーノだった。

 

 受付係のクララがハルトマン探偵事務所に連絡すると、ほどなく探偵ルイス・ハルトマンが駆けつけ、現場の調査が始まった。

 

 連日の雨で地面はぬかるんでいたが、足跡を確認した結果、外部からの侵入の形跡は見つからない。ルイスはこの日、店に訪れていた常連客5名を容疑者として絞り込んだ。

 

 容疑者となった常連の5人は、クララから電話で「伝説の霊媒師マリーに会えるかも」と告げられるや否や、こんな機会は二度とないとばかりに、全員が即座に館へ向かった。彼らは口をそろえて言った。
―被害者であるレナを降霊させれば犯人はすぐにわかるはずだ。
何よりも、目の前でマリーの降霊術を見てみたいという欲望が勝っていた。

 

 やがて、その時が訪れた。

 

 伝説の霊媒師マリーが、ついに皆の前に姿を現したのだ。容疑者全員が、その妖しい魅力に瞬く間に心を奪われる。

 

 マリーは静かに儀式を始め、やがてレナの霊を呼び寄せた。その瞬間、マリーの顔つきが変わり、声も、話し方も、仕草までもが別人となった。そこにいたのは、紛れもなくレナだった。憑依したレナは、【背後からナイフで刺された】こと、そして【犯人の顔は見ていない】ことを語った。探偵ルイス・ハルトマンは降霊術を信用していなかった。だが、マリーの一瞬の変貌と、被害者しか知り得ぬ生々しい描写を前に、もはや伝説の霊媒師マリーの力を信じざるを得なかった。

 

 ルイス
 「やぁ、やっぱりきてくれたんだな。ハルトマン探偵事務所に直々に依頼がきた。みんなの協力のおかげで名前が知られてきたのかもしれない。
ただ、今回は殺人事件だ。今まで以上に気を引き締めていかないと。

 依頼人は、事件がおこった『霊媒師マリーの館』の案内係のクララさん。霊媒師という存在を信じていたわけじゃないけど……
あんなものを目の前で見たら信じるしかない……のかもしれない……

 これから俺は容疑者5人から証言を聞いていく。犯人は必ず嘘をついているはずだ。嘘をついている人物を導き出し、犯人を特定しよう。そのために、みんなの力を貸して欲しい。

 そういえば。霊媒師マリーも協力を申し出てくれている。もし被害者レナさんの声を聞きたければ、霊媒師マリーの館でクララさんに【降霊したい人物の名前】……今回であれば『レナ』と伝えれくれ」

 

事件相関図

 

証言

 

 ルイス
被害者が背中を刺されていたことから自殺の線はない。前日に降った雨で庭がぬかるんでいて、この館を訪れた人物の足跡が残っていた。その足跡を調べた結果、外部からの侵入者がいないこともわかった。クララさんは『常連のみなさまはとても良い方ばかりなんです。私は外部の犯行だと信じたい。レナさんも人にたくさん愛される素敵な方でした。殺されていい人なんかじゃなかったのに』と言っていた。

 しかし、彼女には申し訳ないが、状況から推理すると犯人はこの中にいることになる。

 ……現時点では犯人が絞り込めないな……それに……なんだか嫌な予感がする

 

探偵メモ

・現場の状況や証言から嘘をついている人物を見つけ出せ

・マリーの降霊術も利用しよう

 

 


第二の事件

 ルイスが犯人への手がかりを掴めないまま、第二の事件が起きてしまった。
新たな被害者ハイマンは、この日が初来店だった新聞記者。

 場所は前回と同じ、霊媒師マリーの館の待合室。

 再び5人の容疑者が呼び出され、ハイマンについて話を聞かれたが、誰一人として面識はなかった。だが、ハイマンのポケットにあった名刺から身元が割れた。

 殺害方法は最初の事件と同じく、背後から刃物で一突き。顔が焼かれていた。

 

証言

 

ルイス
同じ現場、同じ殺害方法で殺人事件が起こってしまった……

俺がクララさんに被害者であるハイマンさんのことを尋ねると「先日の事件の件で、マリー様に取材をしたいと連絡があって待合室で待ってもらっておりました。そのときに殺人事件が起きてしまいまして……』と震えながら答えてくれた。

マリーさんの降霊術でハイマンさんの証言を聞いてみてくれ。

ちょっと話が合わない部分が生まれてきたんだ。

あいつが犯人だとすると……辻褄は合う」

 

探偵メモ

・降霊術では真実しか語られない。その真実と証言の間に矛盾はないだろうか

 

 


第三の事件

 ルイスは最重要参考人として、ゲルトが真犯人の線が濃いと推理して疑い、慎重に調査を進める方針を打ち出していた。
しかし、その矢先―第三の事件が発生する。

 被害者は、他ならぬゲルトだった。

 クララから『ゲルトさんが死体で発見された』と一報を受けルイスが駆けつける。
これまでと同じく背後からの刺殺、顔は焼かれている。服装や装飾品からゲルト本人であるようだった。
そこでルイスはゲルト以外の4人の容疑者を再び呼び出すことにした。

 一連の連続殺人犯は誰なのか。
誰が、何のために、この血塗られた連鎖を続けているのか。

 

証言

 

ルイス
「ゲルトさんが犯人だと思っていたが、まさかそのゲルトさん自身が被害者になるなんて……。

ん……? これは……!
ゲルトの遺体の腕時計の文字盤が手首の外側に向いてついている!

……なるほど、これでようやく謎は解けそうだ。
聡明な君なら犯人はもうわかっただろ?
俺はやることがある。

代わりに依頼者であるクララさんに『犯人は○○だ』と教えてあげてくれ!」

 

探偵メモ

・降霊術では亡くなった人しか降ろせないらしい

・犯人を特定し、クララに教えてあげよう

 

過去の事件簿

透明人間 編

タンザニアにいけ 編

アニメ化記念イラスト 編

STAFF

イマーシブディレクター:佐野功
謎解きデザイナー:眞形隆之
アシスタント:服部飛鳥
グラフィックデザイナー:mineo