クララ
「私が犯人ですか……? うふふ……ご冗談をっ!」
受付係のクララは隠し持っていたナイフで、あなたを後ろから襲おうとした。その時だった。
ルイスが咄嗟に止めに入り、クララの身柄を確保した。
真犯人は霊媒師マリーを狂信していた受付係クララだった。
これだけ凄い能力のある霊媒師マリーの存在を、もっと世間に知らせたいと考えていた。
そんな中、第一の被害者レナが、降霊術は嘘という暴露記事を雑誌で広めようとしていることを知ってしまう。
これが殺人の動機だった。
「迷いはございませんでした。 二人も恋人がいて、さぞ愛されるのがお得意だったのでしょうね。
二股なんかされて……二倍の愛を受けて…………人の倍……幸せなんでしょ? だったら……だったらおとなしくしてろよっ! マリー様を侮辱する行為は許されないっ! だから始末したんだっ!
次にハイマンとかいう新聞記者を始末したのは、奴が降霊術は嘘という記事を書こうと考えた元凶だと知ったからだよっ! 私がっ! 天罰を下してやったんだっ!! ……ふふ、私としたことが取り乱してしまいました。
新聞記者が殺されれば、必ず殺人事件は新聞記事になって、多くの人に霊媒師マリー様のことを知ってもらうことができますよね?
私の行いがマリー様を有名にするために繋がるのであれば本望ですわ。 死んだあいつらも、降霊術は本当だったと知ることになるのです。
ああ、そうですわ。マリー様に降霊してもらいましょう。 いま、どんな気持ちか、ぜひ聞いてみたいものです。
……ゲルトさん? ああ、あの方は死んでいませんよ。館の地下室に監禁しています。
だって、罪のない方を殺す理由がありませんもの。 記事が出た後に開放するつもりでしたわ。
ただ、ゲルトさんが犯人になってしまったら ただの『痴情のもつれ』になってしまうでしょう?
この事件はあくまでも『マリー様を信じない者に対しての天罰』でなければいけませんもの
私は死刑になるのでしょうか? 嗚呼、そしたら私もマリー様に降霊してもらえるのでしょうか
探偵さん、その時はあなたがマリー様に依頼してくださいませ」
クララはそう言い捨て、ルイスにより通報を受けた警察に連行された。
ルイス
「怪我はなかったか? ......よかった。
神を信じさせるために人を殺めるようなこと……俺には理解できそうもない。
だけど時にして妄信は狂気を生む。 そんな人の理から外れた存在を……人外と呼ぶのかもしれないな……吸血鬼や人狼と同じ……って、俺はなにを言ってるんだ。
フィクションの世界じゃあるまいし、現実世界で起こった事件の犯人は人間に決まってる。なんにせよ事件は解決だ。
君がいてくれて本当に助かったよ。なんだか良いコンビになれそうな気がするな。
あ、そうだ。 事件の報告書に協力者として君のサインが必要なんだ。名前を書いておいてくれ」